かさぶた治療院ができるまで

「かさぶた治療院」の始まりは2016年5月15日(日)。

この日は、1年に1度の「鍼灸の神様をお祭りする鍼灸祭」が行われた日でした。

毎年、鍼灸祭の時には、鍼灸の神様をお祭りした後に鍼灸の世界で功績を残された先生方が講演をしたり、

実技を披露してくれます。

この年の講師を勤めたのは、自分の長年の恩師でした。

自分が鍼灸学校に入学した18歳の頃から毎年顔を出している鍼灸祭ですが、

この年は、自分にとって特別な年で、ワクワクドキドキしながら会場に向かったことを覚えています。

いつも電車に乗っている時は、治療のこと、授業のこと、学生のこと、色々と妄想していますが、

この日も、会場に向かう電車の中で、いつも通り色々なことを妄想していました。

どうしたら学生が上手になるかなぁ

上手になる為には沢山練習しなくちゃいけないんだよな

沢山練習する為には、やっぱ好きにならなくちゃいけないよな

どうしたらみんなが鍼灸を好きになるのかな?

「みんなが踏み込んだ鍼灸の世界って凄い可能性があるんだよ」ってこと知ってもらわなくちゃだよな

なんて。

そんなことを考えているうちに、学生の卒後(資格取得後)についても考えていました。

「鍼灸」といっても鍼灸の世界はものすごく幅広いものです。

お医者さんに内科や整形外科、眼科、耳鼻科、、、があるように、鍼灸治療でも、色々です。

肩こりや腰痛が得意な治療院、不妊治療に特化した鍼灸院、スポーツチームのトレーナーなど。

卒業後のやりたいこと、進みたい方向が見つかったとしても、それが狭き門だったり。

家族を養う為に進みたい道を諦めたり。

子育てをしながらでは就職ができなかったり。

もちろん、最後の最後は、自分がどこまで踏ん張れるかだけれども、

せっかく「やりたいこと」「進みたい道」が見つかっても諦めてしまったり、

夢を持って「鍼灸の世界」に飛び込んだのに、鍼灸に関わらなくなってしまうのは悲しい。

夢や目標を持っている人を少しでもすくう(≠救う)ことが出来ないだろうか?

あれやこれやと考えているうちに、会場に到着しました。

この年は、自分の恩師が講師を勤めるということで、例年以上に自分の教え子が多く参加していました。

「鍼灸の神様のお祭り」も終わり、恩師の実技披露も終わり、懇親会での出来事でした。

お酒が入ってちょっと陽気になった教え子が数名、自分に近付いてきました。

「先生、先生! 治療院作っちゃいましょうよ!」

ドキッとしました。たった数時間前に自分が考えていたことと同じことでした。

その時は笑って話を流しましたが、この瞬間に「かさぶた治療院」の構想が始まりました。

子育てしながらではフルタイムで働けない。でも、中々パートタイムで勤められるところが無い。

それなら、そんな場所を作っちゃえば良いや。

例えば、子育て中の頑張ってるお母さんの気持ちが一番分かるのは、

子育てしているお母さん鍼灸師だよなぁ。

スポーツチームのトレーナーをしていると鍼灸院に勤めることが難しい。

でも、チームの選手が日頃メンテナンスを受けることのできる空間が欲しい。

それなら、その治療院のベットを使ったら良い。

もし、治療院にスポーツでケガをした患者さんが来院した時には、

スポーツに特化した鍼灸師がいたら患者さんも心強いだろう。

自分が納得できる理想の治療手段が実践できる治療院が見つからない。

鍼灸院に勤めたものの、決められたワンパターンの治療しかさせてもらえない。

そんな志の高い鍼灸師も受け入れることができたら良いなぁ。

みんな(鍼灸師)がやりたいことが実現できる場にしたい。

それなら、自分はこの治療院でどんな夢をかなえようか?

自分は鍼灸師として、何がしたいのだろうか? この治療院をどんな空間にしたいのか。

何をするにしたって、どうせ大変。

どうせ大変な思いをするのなら、トコトンやりたいことをやった方が良い。

新たな治療院を作ることを決めてから「自分がしたいこと」を考え始めました。